映画制作者・愛好者のための映画制作上のさまざまな問題を徹底的に追及したシリーズで、8ミリ作品を作る際のテクニックを、各テーマに分けて詳しく解説したものです。
このシリーズは1968年の丁度シングル・スーパー8機材が浸透したあたりから刊行され、その後はサウンド機構や16ミリフィルム、ビデオ、テレビ放送など多伎にわたるメディアにまで扱うようになりました。新刊は1975年のものが最後だと思いますが80年代に到達するまで版を重ねながら長期間発売されていました。
タイトルテクニック
映画作品の表紙といえるタイトルについて、そのネーミングの考え方からライティング・露出・発色といった要素を考慮し制作していくことを詳細に解説している。
映画撮影テクニック
作品構成からカメラワーク、レンズやフィルムを最大限に生かした映画製作に関するテクニックを解説。撮影姿勢や各シチュエーションに合わせた表現の仕方なども掲載。
映画制作の技法
映画作品を観客にどのように見せるかをテーマに、商業映画や劇画を手本として魅力のある作品作りをするための方法を記載。テクニックに等の技術的なものより表現する側と見る側の心理的な面を考えているためかHow To本というよりは哲学書的なイメージである。
シネ機材マニュアル
8ミリ機材の特徴やメカニズムを解説するといった、後に発売される「映画年鑑」の先駆けともいえる誌である。カメラ、映写機、フィルム等豊富な内容であるが機材のモデルチェンジ等の進化に伴ってこのシリーズの中では最も早く絶版となった。
アニメと特撮
実世界を撮るのとは違ってアニメーションは自然な動きを表現するために基本から学んでいかなければならない、鉄腕アトムや人形劇などテレビでおなじみの作品からそのテクニックを習得するなど資料が豊富に掲載されている。
トーキーテクニック
映像だけではなく音声も映画作品には重要な要素で撮影中の録音の仕方から映像とうまくリンクさせるための編集、映写機での公開についての手引きなど、70年代始め、サウンド機普及前の発行故にまだ技術的に未発達な分野であったが基本的なことは十分に記されている。
撮影表現とトリック
カメラアングル、光と影の加減、ズーム効果などなど見る人をあっといわせたり、ムードを高めるための表現方法を様々な観点から解説している「映画撮影テクニック」の姉妹編ともいえる本である。
実用映画百科
シリーズでこれまでに取り上げてきたことの総決算というか、ビギナーズシリーズの「8mm撮影ガイド」を更に詳しく解説した印象の分厚い本で、撮影のためのマナーや全国のロケ地を紹介したりと細かいところまでも網羅している。
映像入門
この号からは8ミリ撮影だけに限らず、16ミリやVTRなどのフィルムやビデオ映像等にまで幅を広げその種類の特徴や機材の紹介、またアマチュアに加えて企業や教育機関での映像製作と公開についての解説をしている。
続・映像入門
前号の内容からさらに発展した内容でフィルム、ビデオ、スライド映像の進化や使われ方、そしてテレビで放送される映像効果や番組制作についての記述も載っている。70年代前半はビデオ機器等の発売も少なく現存する映像がないこともあり本に記載されているテレビ画像も貴重であったりする。
音と映像
VTR機器の種類とその特徴について詳しく説明してあり、この頃に発売されていたビデオデッキとテープの規格など、今思えばまだ発展途上で各メーカーが試行錯誤していたことが伺え、さらに16ミリカメラについても解説してあるが、ここにきて8ミリ・フィルム映像についての記述がビデオに比べて少なくなっている。
続・音と映像
ビデオ機器の普及に伴いテレビで放送されている映像もフィルムやビデオ、カラーや白黒映像が混在する中それぞれの特徴や視聴者への伝え方などコマーシャルや選挙運動で使われる映像を交えて解説している。ビデオディスク、CATV、テレシネ装置など今後の映像業界の未来を見据えた内容といえる。
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